ネイティブに聞いていいこと
コトバを学ぶには、そのコトバを自由自在に使うネイティブに聞くのが、最もいい方法だと思うかもしれない。しかし、かならずしもそうではない。場合によっては、ネイティブにものを聞くと損だってすることがある。
ネイティブに聞いてもらいたいこと
コトバは文化から成り立つ。ネイティブはそういう事情の中で生きて、それを一番よくわかっている。文法に合いながら不自然な言い方がある。その場にそぐわない言い方、堅苦しい言い方、なれなれしい言い方、ニュアンスが違う言い方、宇宙人が地球にやってきたような言い方すら、いろいろある。ネイティブには、その中から自然な表現をみいだす力がある。ネイティブは自然・不自然に敏感だ。(そのため、わたしはネイティブらしき存在に投稿の内容の自然さを確認してもらっている。(笑))ドイツ語では、ネイティブの力・敏感を「言語感覚」と言う。
それは自然な言い方なのか。
それはニュアンスが合っているのか。
それは流れがスムーズなのか。
いずれも、ぜひネイティブに聞いてもらいたいことだ。質問することで、学ぶコトバが上手になるだろう。学ぶ人が持っていない「言語感覚」をネイティブが補うことで、コトバの理解が深まるだろう。質問がイエスかノーかがポイントだ。
ネイティブに聞いて困ること
コトバを学ぶ人として、一番知りたいことはやはり、「なぜ」だ。なぜコトバがそうなっているのか・そうなっていないのか。なぜわたしの考えが通用しないのか。最終的に、コトバが文化から成り立つため、なぜ文化が違うのか、という質問にたどりつく。
なぜそれは自然・不自然な言い方なのか。
なぜその文法はある・ないなのか。
あいにく、ネイテイブにそんなことを聞いてもしょうがない。なぜなら、その質問はネイティブも知らないからだ!ネイティブであるからこそ、知らない!答えを求められたら、だいたいの人は、なんらかの答えを作り出すが、その答えは推測の域を出ない。だいたいの推測はどこかで間違っている。
コトバはコミュニケーションの道具だ。道具を使うには、その道具の作り方を知る必要はない。同じく、コトバを使うには、コトバのルールを知る必要はない。むしろ、そのルールが無意識になればなるほど、コトバがよく使えると言える。ネイティブはその頂点に立つ。完全にコトバをこなせるが、完全にコトバが無意識になりきっている。
自然な言い方を教えて。
例文を思いつくのは、意外とネイティブにとって難しいものだ。コトバは考えの形を表すものだ。考えがあればそれをコトバにできる。その反面、考えがなければコトバはできない。例文を作るためには、そのシチュエーションを思い描き、その場の気持ちにならなければならない。おいそれとできるものではない。
聞くことで上達する
効果的な質問をすることで、ネイティブに協力してもらいながら、コトバの上達を目指そう。困るような質問はさけよう。どうしても知る必要があれば、専門家や参考書に頼ろう。コトバを聞いたり、話したり、読んだり、書いたりするうちに、「言語感覚」が自然と身につく。考えを自然な言い方に変える力が養われ、少しずつネイティブに近づく。